スポーツビジネスのトレンド|多角化するスポーツ業界

スポーツビジネスは、今注目を集めている成長産業です。

そのスポーツ業界における最近のトレンドは、IT技術の導入やアジアシフト、ダイバーシティや異業種からの人材の流入です。

これらに共通するキーワードは「多角化」であり、これまでのやり方と違うビジネスモデルが生まれています。

そして、ビジネスの多角化によって市場規模の拡大を狙う流れは、今後しばらく続くと予想されています。

この記事では、スポーツビジネスの最近のトレンドについて、詳しく解説します。

スポーツビジネスのトレンドとは?

sports business

現在のスポーツビジネスのトレンドは大きく4つに分けられます。どれもこれからのスポーツ業界の発展には欠かせません。

IT技術の導入

まずはIT技術の導入と発展です。現在のスポーツの現場にはいろんなIT技術が導入されています。

分かりやすい例だと、スポーツのネット配信やSNSによる情報発信、ゴルフシュミレーターのようなマシン、データによる技術向上などです。

このように、「する・みる・支える」という3分野においてIT技術が活かされています。そしてその流れは今後どんどん加速すると予測されているのです。

アジアシフト

これからの経済市場ではアジア市場が注目されており、スポーツ業界も例外ではありません。

世界では人口が増加し続けていますが、中でもアジアの人口増加は著しく、このままいくと近い将来世界の人口の半分がアジアにいるという現象が起こるかもしれません。

アジアにおける人口拡大は、スポーツ業界のみならず様々な業界が注目しているのです。

ダイバーシティー

ダイバーシティとは、いろんな人材を積極的に活用しようという流れのことです。

最初は、社会的少数派の方を就業させようという目的で行われていましたが、徐々にその範囲が広がり、性別や人種のみならず、年齢、性格、学歴、価値観の多様性を認める動きにつながってきています。

人材の質を広げ、活用することで生産性を高めようという動きがより活発になっているのです。

異業種からの人材流入

ダイバーシティでは、年齢や性別になど幅広い多様性を認める動きが活発化していると紹介しましたが、異業種からの人材流入は、スポーツ業界において重要課題になっています。

というのも、スポーツ業界にはそのスポーツに携わった人材は豊富にいますが、マネジメントを専門に行なっているビジネスのスペシャリストが少ないのが現状です。

こうした中で、世界を相手にしたビジネス競争を勝ち抜くためにいろんな業種の方をスポーツ業界に入れようとする流れが起きています。

IT技術の導入

今や、スポーツビジネスにおいてIT技術は無くてはならない要素になっています。

そのなかでも、スマートスタジアムやネット配信の導入がすすめられています。

 スマートスタジアム・アリーナ

日本でも、楽天KOBOスタジアムなどで導入され始めたスマートスタジアム。

海外では競争が激しく、いろいろなスタジアムやアリーナで、さまざまなサービスが展開されています。

そんなスマートスタジアム業界の上位を走るのが、リーバイススタジアムです。

リーバイススタジアムは、NFLの試合を主に主催しているスタジアムですが、

  • 無料Wi-Fi
  • スタジアム観戦用アプリの配信
  • データがリアルタイムで見れる
  • リプレー動画も配信
  • 客席からドリンクやフードメニューを注文可能
  • スタジアムマップで自分の現在地を確認できる

などのサービスを導入しています。

このようなサービスを展開した結果、38%の観客がサービスを利用し、1日に10.1TBもの通信量を記録するなど、確かな結果を残しています。

日本でも、こういったスマートスタジアムの流れは広がっており、成績をみながら観戦できる可視用のメガネなどが採用されています。

試合情報のネット配信

一昔前は、テレビでの試合放送や配信がほとんどでした。

しかし、現在では、試合のリアルタイム配信や動画配信、リプレー動画やデータ配信など、多くの情報がネットによって発信されています。

試合のリアルタイム配信は、衛星放送などで観戦するよりも安く観戦できる手段として多くのスポーツファンが使用しています。

また、リアルタイムの配信だけでなくデータの配信や詳細情報の発信などによってより詳しく深いスポーツ観戦が可能になっているのです。

アジアシフト

人口と経済の拡大が続いているアジア。

これからのスポーツビジネスにおいても、重要な市場になることは間違いありません。

人口爆発

世界で増え続ける人口ですが、特に、アジアの人口爆発は当分続くとされています。

2019年6月の段階で、75億人がこの地球上で生活しているとされていますが、毎秒2~3人のペースで増加を続けています。

そして、アジアでは世界の人口の半分が暮らしていると言われています。

人口の割合からいっても、アジアがこれからのビジネスの激戦区になることは間違いなさそうです。

 アジアでは中間層が増える

急激な人口増加が続くアジア。

そんなアジアでは著しい経済発展が起こっています。

その経済発展が及ぼす影響なのか、アジアでは中間層と呼ばれる人々が激増しています。

この中間層の人々は、いろいろな需要を生み出す経済層とされていますが、中間層とともに富裕層も増えている今、アジアは巨大なマーケティング市場と化しています。

この流れはしばらく続くと予想されていて、いろいろな業界のアジア市場への進出が相次いでいるのです。

もちろん、スポーツ業界も例外ではありません。

巨大市場化するアジア 

前述したように、アジアが巨大市場化している今、スポーツ界も次々とアジアへ進出しています。

そのため、ワールドカップやオリンピックといった国際的なイベントがアジアに集中するのではないかと言われています。

その代表例として、ラグビーワールドカップのアジア開催があります。

アジアのラグビー人口は約10%であり、その他の地域と比べると少ないもの。

しかし、巨大市場化しているアジアで、もし人気スポーツになれば、一気に巨大産業とすることができるのです。

このように、今までアジアではマイナースポーツだった競技が、今後も次々と進出するということが起こるでしょう。

ダイバーシティー

いろんな価値観を認め合いながら業務を行うダイバーシティ。

スポーツ業界も採用している業種が増えています。 

 スポーツ界のダイバーシティ

スポーツ業界にはいろんなダイバーシティの動きが起きています。

その例として

  • 競技団体のマネジメント要員に女性を採用
  • オリンピックで男女混合競技の採用
  • 競技団体にセクシャルマイノリティの方を採用
  • 競技の理事クラスに障がい者を採用

などの動きが見られます。

いろいろな人材の受け入れを進めることで、多様化する世界に対応しようとしているのです。

健康寿命の延伸

ダイバーシティの目的としてあげられるのが、健康寿命の延伸です。

日本に限らず、世界で健康への関心が高まっています。

その流れで、健康を目的としたスポーツ活動の分野は、新たな価値観のスポーツ市場として市場規模の拡大が期待されています。

また、障がい者スポーツは、少し前からビジネスとしてのポテンシャルを期待されてきました。

こういった健康志向の高まりの中で、スポーツビジネスも新たなビジネスチャンスの獲得に向けて動き続けているのです。     

異業種からの人材流入

スポーツ業界に異業種からの人材流入が期待されている理由として、市場拡大があります。

まだまだ小さいスポーツ市場

スポーツ業界は巨大市場のような感じを受けますが、実際はそこまで大きくありません。

国内で最も人気コンテンツであるプロ野球とJリーグを合わせても、その市場規模は3000億円ほどです。

巨大市場として多くの投資を募るためには、1兆円規模の市場にする必要があるのです。

深刻な人材不足

スポーツ市場がなかなか拡大しない理由として、ビジネス人材の不足が挙げられます。

スポーツ業界には、そのスポーツの経験者が多く存在しています。

しかし、そういった方はスポーツに関してはスペシャリストですが、マネジメント経験に乏しくビジネスの現場の経験が足りません。

Jリーグでは、人材を育成するためのプログラム「スポーツヒューマンキャピタル」といったシステムもありますが、まだまだ育成が充実しているとは言い難いのが現状です。

得意分野とスポーツの掛け合わせ

スポーツビジネスの人材不足対策として、異業種からの人材流入が注目されています。

異業種から人材流入するメリットとしては、その人材の得意分野との掛け合わせができることが挙げられます。

例えば、SNSなどが得意な人材とスポーツが掛け合わせられれば、前述したスポーツのIT利用に繋がりますし、人材育成プログラムが得意な方であれば、スポーツビジネスマンの育成に繋がるのです。

このように、いろんな業種の人材を採用することは、スポーツビジネスの幅を広げるために有用な方法です。

まとめ

スポーツ業界におけるビジネスは、まだまだこれからというのが現状です。

そして、市場拡大のためには、人材の採用と育成が急務ともいえます。

いろいろな価値観を持ったさまざまな人材を採用することで、スポーツビジネスの裾野を広げ、市場の拡大を狙う動きが進んでいるのです。

参考記事一覧

「スポーツビジネスは特別なビジネスではない」上野直彦氏が語る(SPORT BUSINESS)

平成29年度「スポーツ産業の成長促進事業 ③スポーツ関連新事業創出支援事業」報告書(スポーツ庁)

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