海外のスポーツビジネスに学ぶ日本と海外の根本的な違いとは

日本政府は、2025年までにスポーツの経済規模を15兆円に乗せる目標を発表しています。現状の日本のスポーツ経済の規模は海外に比べて小さいと言わざるを得なく、またビジネスとしての考え方もまだまだ根付いているとは言い難い状況です。そういった遅れている状況から脱するためには、海外の優秀なスポーツビジネスのやり方を取り入れる必要があります。そこで、海外ではどういった手法が取り入れられているのか見ていきましょう。

スポーツビジネスとは?

日本では、スポーツをビジネスとして捉える風潮がまだまだ根付いていません。反対にスポーツをビジネスとして捉えるのが強く根付いている海外では、多くのスポーツがビジネスとして発展し、得られた利益をもとに選手や競技団体の強化が行われています。

 スポーツビジネスとは

ポーツビジネスとは、文字通りスポーツを媒体としてビジネスを行うことです。

もっとわかりやすくいうと、次の2つが挙げられます。

1.スポーツそのものを売っている

2.スポーツを通じて何かを売っている

1はわかりやすく、プロスポーツやスポーツ興行です。野球やサッカーなどが日本で一般的でしょうか。

2はスポーツを通じて商売をするモデルです。スポーツグッズの販売などだけでなく、例えば、スポーツの際に怪我をした方の治療をする病院や、放映や取材をする各種メディアもスポーツビジネスをしているといえるでしょう。

スポンサー

スポーツビジネスと聞いてスポンサーを思い浮かべる方は多いことでしょう。スポンサーは様々なスポーツ団体と契約し、企業アピールをして貰う代わりに料金を払います。

スポンサー企業のイメージや売上げアップに協力することで、その対価として運営費用を稼ぐビジネスモデルです。

このスポンサーは、スポーツを通じてものを売っていくスポーツビジネスの代表格です。

海外のプロスポーツのビジネス規模

海外のプロスポーツのビジネス規模は、かなり巨大になっています。ここではヨーロッパで圧倒的人気を誇るサッカーの例をもとに、どのような経済規模を持っているかを見ていきましょう

海外サッカーの経済規模

主な海外サッカークラブを見ていくと、2015年から2016年シーズンでは、マンチェスターユナイテッドが世界一の売り上げを誇るサッカークラブになっています。

その規模は約840億円。さらに2位のバルセロナが755億円、レアルマドリードも755億円と膨大な規模になっていることがわかります。

こうしたクラブの主な収益源は、入場料や放映権、グッズなどの販売収益、スポンサー料などです。クラブの収益モデルとしては、日本とさほど変わらないのですが、かなりの額の売上高を記録しています。

海外ですすむデジタル変革

日本でも、デジタル技術をつかったビジネスが行われていますが、海外ではもっと進んでいます。チームの強化のためのデジタル技術の推進はもちろんのこと、ファンとのつながりをはかるための、技術や運営そのものに活かせる技術などその使用は多岐にわたっているのです。

 チーム強化

海外のサッカーチームでは、デジタル変革によってチームの強化も行われています。

2016年のブンデスリーガでは、新興チームの躍進が目立ちました。

その中でもホッケンハイムは、28歳のユリアン・ナーゲルスマンが監督として起用され、ITを駆使しした育成と戦術を実行し、2シーズン目で名門ドルトムントと3位争いを繰り広げ、大きな話題を呼びました。

他にもライプツィヒもテクノロジーを駆使した戦術で2位に躍進し、確かな成績を収めています。

両チームにいえることは、テクノロジーによってチームや選手の強化に成功しただけでなく、ファンとのコミュニケーションやスタジアム運営などに役立てていることです。こうしたデジタルを使ったマーケティングはスポーツ業界に広がっています。

 ファンとの繋がり

日本でも盛んになってきたSNSを使用したファンとの交流。SNS先進国のアメリカでは、ファンをサポーターにするための工夫が数多くされています。そのテーマはリアルとSNSの融合です。

アメリカの4大スポーツ・122チームのすべてがなんらかのSNSアカウントをもっています。そして、ファンとの絆を深めるツールとして使用しているのです。

中でもNBAは最も積極的にSNSを活用しています。

 スタジアム運営

海外スタジアム運営には、デジタル技術を駆使した運営がされています。

例えば、デトロイトに本拠地を置くNFLのチーム、デトロイト・ライオンズでは、チームの公式アプリに、Wi-Fi ユーザーの位置情報を特定するナビゲーション機能を設置。

これにより、行きたい場所を選択することで、目的地への最短ルートが表示されるようになりました。

そして、レストランやビアホールだけでなくトイレ、エレベーター、クラブ、バーなどの表示もされるため、行きたい場所にすぐ行けるようになっているのです。

こういった取り組みはアメリカの様々なスタジアムが実施しており、徐々にその輪が広がってきています。

チームオンラインショップ

ネットとリアル(実店舗)をスムーズに結ぶオンラインショップが完成されています。具体的な買い物の流れとしては、以下の例が一般的です。

1.試合に行く途中で広告についているQRコードにアクセス

2.移動中にスマホで観戦グッズを購入

3.スタジアムに着いたらショップのカウンターで商品受け取る

このようなスマホからオンラインショップ、そしてリアルというような、商品購入の流れに柔軟に対応できるのです。

こういった仕組みは、日本の小売業があまり具現化できていない体験型の買い物の実現に繋がります。スタジアムで並ばずにスマホで購入でき、そのうえ受け取りが可能であれば、ファンの満足度も高まるといえるでしょう。

海外のスポーツビジネスを学ぶには?

ここまで紹介してきたように、海外では非常に優秀なビジネスがスポーツを通して行われているのです。そんな海外のスポーツビジネスを学ぶことは、これからの日本スポーツ界にとって大きなことですし、そういった人材を育てなければなりません。

そこで、ここからは海外のスポーツビジネスを学ぶにはどうしたら良いのかを紹介していきます。

スポーツ留学

スポーツ留学はスポーツ業界を目指す学生にとって貴重な体験になることでしょう。

しかし、ただ現地に行くだけでスポーツ留学できるわけではないのです。海外のスポーツ学部は、ある程度の実力がないと入部させてくれません。こういった事態にならないためにも、前もって計画を立てたり、準備をしていく必要があるのです。

ただし、そういった情報の入手は簡単なことではなく、判断材料もないので支援団体を利用するのも一つの手段でしょう。

インターンシップ

スポーツビジネスを間近で感じる上で、本場のスポーツビジネスを体験するプログラムがインターンシップのメリットです。

ファンサービスやチケットの販売などの仕事に関わりながら、野球やアメフト、アイスホッケーなどのビジネスに飛び込むことが出来ます。

インターンシップ終了後は、派遣先の球団に認められて本採用になる場合や、国内の球団に勤めるなど、インターンシップで学んだことを活かして仕事ができるようにサポートしてくれる団体もあります。

  スポーツビジネス体験

マンチェスターユナイテッドでは、ビジネス体験プログラムを行っています。世界最高峰サッカーチームのビジネスを間近で学べるので、スポーツビジネスを学んでいる学生から人気があります。

他の海外スポーツチームでも、本場のスポーツビジネスを体験できるプログラムを実施しています。

体験内容としては、施設管理、チーム運営、スポーツマネジメントやマーケティングなどから目的をもって参加できるプログラムを実施。

さらに、一般には非公開の施設見学やクラブスタッフとのコミュニケーションや質問が可能です。

学生生活や普段の生活の中ではわからないリアルな現場を学習できます。

まとめ

2020年のオリンピックを代表するスポーツイベントが続く日本。しかし、まだスポーツビジネスが発展しているとはいえないのが現実です。

そうしたスポーツビジネスの現状を改善するために、海外で実践されている例は参考になります。また、海外に学習しに行く機会が増えています。

海外のスポーツビジネスを取得した人材が日本のスポーツビジネスを発展させてくれることが期待されているのです。


参考記事一覧

本場のスポーツビジネスとは!?実態はこれだ!!(WSC)

海外インターンシップ・留学よりも気軽にできるスポーツビジネス体験(EXSPORT-BIZ)

ホッフェンハイムの躍進はピッチ内だけではない(海外クラブや他業界に学ぶデジタル変革鍵はスポーツ×ビジネス×テクノロジー)

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