音楽フェス開催からバスケ参画も サッカー仏1部オリンピック・リヨン、収益多様化への挑戦

エンタメ事業参入 6万人収容のスタジアムで新たな音楽フェス開催

フランスのサッカーリーグ「リーグ1」に所属するオリンピック・リヨンは、2019年6月19日、仏オリンピアプロダクションと合弁会社OL Productionを設立し、新たな音楽フェスティバル「FELYN」を毎年リヨンの本拠地であるグルパマスタジアムで開催すると発表した。第1回のフェスティバルは、2020年の6月19日と20日に開催する。アーティストのラインナップは今年の年末までに発表される予定。

オリンピック・リヨンは2016年に新たな多目的スタジアム「グルパマスタジアム」を完成させ、観客収容数を引き上げると共に、これまでにサッカー以外の用途でもイベントを開催してきた。スタジアムは約6万人を収容するが、2018/19シーズンの一試合あたり平均観客数は過去最高の4万9,079人。旧スタジアム「スタッド・ジェルラン」での最後のシーズンである2014/15の平均観客数が3万4,949人だったことから、約40%増となっている。

イベント関連については、2018/19シーズンの第三四半期までで520万ユーロ(約6億3000万円)の収入となったが、これは前年同期比で180万ユーロ(約2億2000万円)の減少であったことを英メディア『SportsPro』が報じている。リヨンは2024年までに年間4億ユーロ(約490億円)の売上目標を掲げており、収容人数の多いスタジアムで大型イベントを手がけることで収益増加を狙う。

大手コンサルティング会社デロイトの最新のレポート「Deloitte Football Money League 2019」によれば、2017/18シーズンのリヨンの収入は1億6,420万ユーロであり、目標達成には向こう7年で現在の約2.4倍の収入をあげる必要がある。この観点からも、イベントによる収入に期待がかかる。

仏1部のバスケチームにも投資 クラブ間でシナジー狙う

リヨンはまた、6月25日に、フランスプロバスケットボールリーグに所属するアスヴェル(ASVEL)の男子チームLDLC ASVELと女子チームLyon ASVEL Fémininの少数株式の取得を発表した。取得株式の割合は、男子チームは25%で金額にして340万ユーロ(約4.1億円)、女子チームは10%で金額にして30万ユーロ(約3,600万円)であったと『SportsPro』は報じている。

アスヴェルは、元NBAプレーヤーのトニー・パーカー氏が2014年に株式を取得した事で知られている。両クラブのチケット、スポンサーシップ、セミナーなどのセット販売などにより、シナジーを生み出すことが期待されている。また、契約にはトニー・パーカー氏の肖像権も含まれており、NBAの本場アメリカやバスケットボール人気の高い中国への進出を後押しする。

オリンピック・リヨン・グループの会長であるジョン・ミシェル・オラース氏は、「私たちは国際的なブランドとなることを目指しており、(アスヴェルが)ヨーロッパレベルで戦う為に長期的なサポートを計画している」と英『SportBusiness』に語っている。

この契約発表に合わせて、リヨン・グルパマスタジアムの隣に、1万5,000〜6,000人を収容するアリーナを併設する計画も発表された。コンサート、スポーツイベント、大規模セミナーなど年間100ものイベント開催を目指しており、2023/24シーズンまでの開業を予定している。リヨンはアリーナを100%保有し、運営も行う。

オリンピック・リヨンのサッカーだけに頼らない多角的なビジネスモデルは、スポーツクラブ運営の将来の形として示唆に富むものとなるだろう

◇参照

・Deloitte Football Money League 2019

Olympique Lyonnais

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SportsPro

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画像=Marco Iacobucci EPP / Shutterstock.com